第2回基礎を見直す勉強会

第2回勉強会は9月に実施予定でしたが、台風のため中止となりました。今回はその日実施予定だった内容を行いました。

左手がフリーの状態で弾けているか?

日時:2018年12月9日(日) 13:00~16:00

参加者:8名

 

鈴木鎮一著「奏法の哲学」(全音楽譜出版社)を参考に、彼ががスズキメソードで行っていた練習方法を取り入れて行ってみました。この本には「自然音」という言葉がよく出てきます。彼は自然音のことを「その音はやわらかく美しい絃そのものの鳴る音」と表現しています。そしてその音を長く鳴り続けさせる役目を果たすのが弓である、とも述べています。「初歩だからやむを得ない、始めはギーギーやっていても、やがては美しい音で弾くようになるだろう、という考えは廃すべきだと思います。」との一文には「まさにその通り!」と共感いたしました。自然音を鳴らすためには、脱力し、右手と左手を上手くコントロールしながら弾くことが必要となります。心地よく響いた時の音を意識し、常にそのような音を出そうとし続けることがとても大切なのです。

 

今回の勉強会課題は左手の脱力としましたが、前回の課題だったボーイングにおける右手の重心移動についての復習も併せて行いました。

 

それでは、この日に行った練習について順に記していきます。最初にストレッチを行ってウォーミングアップ。楽器を構えただけで首や肩に力が入ってしまう方が多いので、まずは筋肉をほぐし身体を温めました。

ヴァイオリンの練習前にストレッチ
音を出す前に、みんなでストレッチをやってウォーミングアップ

①楽器がきちんと左肩に乗っているかをひとりずつ確認。併せて肩当ての高さがフィットしているかも見る。

楽器を身体の中心寄りに構えていると、支える場所がなくどんどん下がってしまいます。姿勢が悪いと見た目が悪いのは勿論のこと、ボーイングも悪くなり、よい音で弾くことが困難になります。楽器が下がらないようきちんと左肩に乗せてよい姿勢を保って弾くということがとても大切です。

 

②スクロール(渦巻き)を壁につけて弾いてみる。

普通に弾いた時と壁につけて弾いた時のどちらが楽に弾けるか聞いたところ、生徒の皆さんの感想はほぼ半々に別れました。壁につけた方が楽だと感じた方は、無意識のうちに楽器を持つ左手に力が入っていて支えられることで楽に構えられているのかもしれません。先程も書きましたように、とにかくしっかり楽器を左肩に乗せ、左手(肩から先全て)をフリーの状態にすること!これができないと、より自然な体勢で楽に演奏することができません。

③きらきら星変奏曲1(篠崎バイオリン教本1)を使って、左手をネックから離してもきちんと楽器を保持できるかを確認。

この曲はイ長調でA(ラ)、E(ミ)の2つの解放弦が出てきますので、その時にネックから左手を離し、向き合った相手と握手をします。本には「子どもたちが遊び感覚で楽しみながらできる練習」とありますが、うっかりしていると握手しそびれてしまうこともあり、大人でも十分楽しみながらできる練習だと思います。楽器がしっかり肩に乗っているかを確認するばかりでなく、ネックから左手を離した状態からパッと3の指を押さえなくてはならない箇所もあり、いい練習になるのではと思います。

④弓毛をうんと張って弾く⇒うんと緩めて弾く、の2通りでやってみる。

ベストな張り具合の時と比べて弾きにくさはあかるとは思いますが、弓毛がどんな状態であっても、上手く脱力して弓が持てていれば、ある程度のコントロールはできるはず。

弓の張り具合が強い時は、弦からはじかれるような感触があって弾きにくさを感じるかもしれませんが、強い音が出ます。また弓の張り具合が弱い時は大きな音は出ませんが、響きのある美しいpの音で弾くようにすることはできます。「どんな場合にコントロールが上手くできていないか?」を把握し、様々な角度からアプローチして、克服できるよう練習していくことが大切だと思います。

 

《前回からの課題》前回の勉強会から右手の脱力を課題とし、レッスンの中でもずっと練習し続けていますが、皆さんなかなか脱力したボーイングが掴み切れていません…

苦肉の策として、弓の中で一番面積の広いフロッグの枠部分(スライド:貝製の部分)に親指を置いて弾く練習をしてもらっています。スティック(棹)は細いですので、無意識のうちに落とさないように…という気持ちが働き、どうしても力が入りがちです。普通の持ち方と交互に練習してみると、スライドに親指を置いた時の方が安定して楽に弓が持てることに気付き「しばらくの間こちらの持ち方で練習してみる」と申し出てくれた生徒もいました。弓は長いですので、重心移動を上手に行わないと使いこなせません。とくに弾きにくい元などは力任せで弾くことになってしまいます。弓先⇒右人差し指側、真ん中⇒右指均等、元⇒右小指側という重心移動をスムーズに行うことが必須なのです。

弓の持ち方
フロッグの枠に親指を置く持ち方
ヴァイオリンの弓、先弓での持ち方
弓先での人差し指、小指のかたち

ヴァイオリンの弓の持ち方
真ん中での人差し指、小指のかたち
ヴァイオリンの弓の使い方・指弓
元での人差し指、小指のかたち

⑤右手の重心移動の確認。

きらきら星変奏曲1とボッケリーニ:メヌエット冒頭を使って真ん中、弓先、元の3通り(弓幅は5cm程度、音量はp)で練習。

右手の上手な重心移動ができていないため、どうしても元での音がギシギシ言ったり、手首から先が上手に脱力できず腕から動いてしまい、ぎごちなく、見ていても弾きにくそうなのがわかりました。また指の力だけが抜けていても上手な重心移動ができていない場合にも弓のコントロールはできません。時間をかけてできるようになるまでじっくり取り組んでいかないといけない課題だな、と改めて実感。

 

⑥足踏みから始め、手を叩いた時に歩き始め、次に手を叩いた時に立ち止まって足踏みを繰り返す練習。予測がつかないよう、手を叩くタイミングは不規則に行う。

どんな時でも弾くことをやめない、ということは意外と難しく、練習最初では、ある程度弾ける方でも立ち止まると同時に弓も止まったりしていました。歩くことで身体全体がリラックスし、反射神経を鍛える手助けにもなる練習だと感じました。

この日は年内最後の勉強会となりましたので、今感じていることや来年への抱負などを聞かせてもらいましたが「少しでも上手くなりたい!」と願っている皆さんの熱い気持ちがひしひしと伝わってきました。これからも一緒に勉強する機会をなるべく多く設け、切磋琢磨しながら学び合い、色々なことを吸収していって欲しいと思っています!

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